ワサビの辛味成分

 

ワサビの最大の特徴はもちろんあの独特な辛味成分ということになります。これはもともとアブラナ科の植物には多いのですが、からし油配糖体(グルコシノレート)の一種となるシニグリンという成分が、すりおろされる時に酸素に触れて、細胞内の酵素と反応し、アリルイソチオシアネートが生成されるからです。

 

これは揮発性のからし油類と呼ばれるものです。ワサビの細胞が壊れる時にだけできます。ワサビをおろす時に辛子油は沢山作られ、ツーンとくるあの独特な風味が出てくるわけです。これには抗菌作用があり、大腸菌や黄色ブドウ球菌、腸炎ビブリオ菌などいわゆる食中毒の原因になりやすい菌の増殖を養成する効果があります。更には抗虫効果もあります。

 

鯖など大衆魚介類には高率に寄生する線虫の幼虫の問題がありますが、その活動を抑制する効果ということで、そういう意味で刺身にワサビが付きものなのは、ただ単に美味しいからということだけではなかったのです。

 

他にも、がんの予防効果や血栓の予防効果もあるそうです。血栓については、血液中の血小板の凝集を抑制することで血栓の予防に役に立ちます。

 

ワサビの独特な香りには睡眠からの覚醒作用もあって、特に聴覚障害者に有効だという発表も2011年9月にあったそうです。ちなみに唐辛子の辛味成分はカプサイシンであり、これとは辛味成分が全く異なっています。